ぼくはノラだった

そう。
ぼくはノラだった。

ぼくは、あまり人間が来ない野原で黒いかあちゃんと兄弟とでくらしてた。

かあちゃんから人間はわからないもんだと聞かされた。

ぼくらを大好きな人間もいれば、大嫌いな人間もいるらしい。

ぼくらは、しばらく幸せに暮らしていたんだけど、ある日人間がかごはんを置いていった。いつものように優しい人間が美味しいものをくれたんだと、かあちゃんは喜んで味見を始めた。

かあちゃんはゴロゴロ転がって動かなくなった。
それからは大変だった。
どんどん冷たくなっていくかあちゃんを助けてと人間に声をかけたくても、優しくない方の人間だったら怖いし、どうにもならなかった。

雨が冷たくても、お腹が空いても、黒いかあちゃんは動かない。
もう抱きつくと暖かくて柔らかいかあちゃんじゃなくなっていた。

お腹が空いてふらふら歩いているときに人間が「おいで!」って言った気がした。その大きい人間は不思議と怖くなかった。近くにいくと優しい匂いもしたんだ。

気がつくとぼくだけフカフカの布にくるまれ、とびきり美味しいご飯にありついていた。

ぼくの兄弟はどうなったんだろう。

「おいで」と抱き上げてくれたのは今の家にいる人間のお母さんだったことは、あとからわかった。

今、ぼくはえらく幸せな毎日だ。
ぼくをたすけてくれた人間のお母さん、やたらに元気なまぁくん、ちょっとしかいないとうちゃんと暮らしている。

美味しいお水とごはん、ときどき温かい牛の乳が飲めるんだ。

 

 

☆☆☆ ぼくはここにいるよ ☆☆☆

☆☆ ぼくはここにもいるよ ☆☆